NPO法人 だっことおんぶの研究所

抱っことおんぶの豆知識 抱っことおんぶの豆知識

抱っこやおんぶは愛着を育てるのか?

抱っこやおんぶは愛着を育てるのか?

親になれば誰もが赤ちゃんを愛情いっぱいで育てたい、いい子に育ってほしいと願うものでしょう。赤ちゃんが豊かな人間関係を築いていくための基礎が安定した愛着関係にあると言われています。抱っこやおんぶをすることが、赤ちゃんの基礎的な感情に与える影響を考えてみましょう。

子に託す親の願い

親の願いが込められると思われる名付けについて、ランキングをみてみると、名付けには人間関係に恵まれる、優しい子になるように、明るい子に育つようにといった、人と人との絆が保つ豊かな人生を歩めるようにと願う親の気持ちがにじみ出ています。優しい子は他者に対して優しく、それによって友だちがたくさんできるように望んでいるでしょうし、明るい子は人気者で前向きなイメージがあり、やはり周りにはたくさんの友人知人がいることでしょう。
人と人の繋がりのベースには、相手を信じる力が必要です。目の前に現れた人はいつも自分の敵だと思うなら、常に攻撃的にならざるを得ないし、自分を過度に守ろうとするでしょう。多少時間がかかっても、相手を信じて心を開くことで人との繋がりが生まれます。それを土台に豊かな人間関係がひろがっていったり、さまざまな活動(チャレンジ)が活発になっていきます。

見通しを持てる子

では、どうしたら人と繋がりを持って豊かな人間関係を築けるようになるのでしょうか。それには、まずぜったいに揺るがないその子にとっての安全基地をつくることです。親子関係が重要な鍵になります。ほんとうの親ではなくても、密にやりとりができる保護者(大人)でいいのです。保育園の先生でも、同居する祖父母でも構いません。
赤ちゃんは何かしたとき、できたときに自分の好きな人の顔を見ます。「見てた?」「できたでしょ?」という感じで、確認をします。それは、赤ちゃんや子どもにとって、その人が安全基地になっているからです。自分をいつも見守ってくれる人、自分の味方だと信じています。痛いときや悲しいとき、悔しいときに安全基地(信頼できる人)のところで慰めてもらえる、自分を認めてもらえると信じているからこそ、新しいことにチャレンジしたり子どもらしく活動できるのです。安心して帰る場所があるからこそ挑戦できるのです。

親が安全基地になる方法

今の日本では、多くは親が最初の安全基地になっていることと思います。赤ちゃんに自分が安全基地であることをわかってもらうためには、相互のやりとりが必要になります。
そうは言っても、赤ちゃんはこちらのいうことがわかるの? という疑問があるかもしれませんね。大丈夫です、赤ちゃんは生後3ヶ月ごろには、見ることで大人との相互行為があることを理解するようになります。その頃には、あやしの声を追うようになっていますし、感情と結びついた表情をつくることもできています。親は赤ちゃんのそうした表情に対して声をかけ、赤ちゃんのおしゃべり(クーイング)に付き合うだけなのです。それが繰り返されることで、この人はボク/ワタシのことをわかってくれている、この人はいい人だ、いつも応援してくれるんだと信じられるようになるのです。
これが中学生になってからやり直しになるとたいへんになります。お子さんの要求が年齢の分だけ大きくなるので、それをいつも受け入れるわけにはいかなくなるからです。
抱っこやおんぶをすると、赤ちゃんの顔が近くなり、赤ちゃんの要求やコミュニケーションを逃さなくなります。赤ちゃんとしては無視されたり、期待からはずれた反応をされることが少なくなります。もちろん、完璧な親はいませんから、ぜったいに毎回はずさないということはありませんが、不快=泣いている状態を放っておくよりは何倍かましでしょう。そういう身体接近の状態を続けられることから、抱っこやおんぶは相互コミュニケーションの土台となる方法だと言えます。その積み重ねが、赤ちゃんが大人になっても生きやすい安全基地になっていくのです。

 

参考資料
たまひよ2021年赤ちゃんの名前ランキングhttps://st.benesse.ne.jp/ninshin/name/(2022年3月25日閲覧)
遠藤利彦,(2017)『赤ちゃんの発達とアタッチメント 乳児保育で大切にしたいこと』ひとなる書房
E. Reed, 細田直哉 訳・佐々木正人 監訳 (1996/2000)『アフォーダンスの心理学』新曜社

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